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クレプトマニアの万引き事件

2021-09-24

クレプトマニアの万引き事件

クレプトマニア万引き事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

会社員のAさんは、三重県四日市市のコンビニで、お菓子など合わせて3000円相当のものを万引きしました。
しかし、Aさんの万引き現場は警備員に目撃されており、Aさんは通報を受けた三重県四日市北警察署の警察官に窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんはお金に困っていたわけではなく、欲しいと思ったわけでもないのに万引きをしてしまったと接見にきた弁護士に相談しました。
Aさんは過去にも何度か万引きで捕まっており、弁護士クレプトマニア(窃盗癖)の可能性もあるのではないかと話しました。
Aさんは、クレプトマニアであるならそれを治して再犯しないようにしたいと考えています。
(※この事例はフィクションです。)

・クレプトマニア(窃盗癖)とは?

クレプトマニア(窃盗癖)とは、窃盗をする衝動が抑えられず、窃盗をすること自体を目的として窃盗を繰り返してしまう精神障害の一つです。
クレプトマニアの特徴としては、窃盗したものを利用する目的(=利益目的)で窃盗をするわけではないこと(例えば、窃盗行為をしてもその盗んだものを使う予定はないなど)、窃盗行為自体に依存しているため窃盗行為の常習性があることなどがあげられます。
また、クレプトマニアと摂食障害などを合わせて発症していることも少なくありません。

・クレプトマニアと万引きの再犯

万引き行為は、当然窃盗罪に当てはまる行為です。

刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

先ほど触れた通り、クレプトマニアは窃盗行為自体に依存しているために窃盗行為を繰り返してしまう病気ですから、何度も窃盗罪を繰り返し犯してしまい、窃盗罪の再犯として逮捕されてしまうケースが多いです。
万引きなどの窃盗行為を繰り返してしまうと、常習累犯窃盗罪という、窃盗罪よりもさらに重い犯罪が成立する可能性も出てくることにも注意が必要です。
しかし、ただ単に万引きの常習犯であるという点だけに着目されてしまうと、クレプトマニアは治らずにただ重い処罰をくだされてしまい、根本的な解決にはならずにまた再犯を繰り返してしまうというおそれもあります。

しかし、クレプトマニアであるのか、もしもクレプトマニアだとしたらどのような治療をしなければいけないのかは、専門家に診療・治療してもらわなければわからないことです。
それは今回のAさんのように逮捕されたままでは叶わないことですから、まずは弁護士に釈放を求める活動をしてもらい、そこから再犯防止に向けて具体的・効果的な対策を立てていくことが求められるでしょう。

もちろん、クレプトマニアだったからといって万引きなどの窃盗行為が無罪になるわけではありません。
ですが、同じことを繰り返さないための具体的・効果的な再犯防止策を講じていることは、起訴・不起訴の判断や刑罰の重さを決める上でも考慮されます。
まずは弁護士に相談しながら、クレプトマニアの治療を受けるための環境を整えていくことが重要です。
クレプトマニアを治していくために必要なものには、本人の努力はもちろんのこと、ご家族の支えや専門機関での治療などがあげられますが、早期にそれらを受けるには、釈放を実現して在宅捜査で掲示手続きを進めることや、被害者の方への謝罪。示談交渉交渉を速やかに行うことが必要不可欠なのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門弁護士は、被疑者の方の事情をじっくりとお聞きし、今後の方針などをご提案します。
万引き事件で逮捕されてお困りの方、万引きを繰り返してしまいもしかしたらクレプトマニアかもしれないとお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

少年鑑別所に行くことになったら

2021-09-17

少年鑑別所に行くことになったら

少年鑑別所に行くことになったらどうなるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

Bさんは、三重県いなべ市に住んでいる主婦です。
ある日、Bさんの息子Aさん(16歳)が、痴漢事件を起こして三重県いなべ警察署逮捕されてしまいました。
警察からの話によると、Aさんは今回逮捕された痴漢事件以外にも複数の痴漢事件も起こしていたようです。
逮捕からしばらくして、Bさんは、Aさんが少年鑑別所に行くことになるという話を聞きました。
Bさんは、少年鑑別所とはどんなところなのか、少年鑑別所に行くことでAさんとってデメリットはあるのか、Aさんのためにできることがはあるのかといったことが気になり、三重県少年事件にも対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※この相談例はフィクションです。)

・少年鑑別所に行くということ

今回の事例のBさんは、少年鑑別所に行くことになってしまった息子Aさんのために弁護士に相談に行ったようです。
少年事件を起こしてしまった場合、Aさんのように少年鑑別所に行くことになる場合があります。

少年鑑別所では、少年鑑別所での調査の必要があると認められた少年の性格や少年事件を起こしてしまった原因等について、専門的に調査を行います。
少年事件の終局処分では、少年が更生すること、更正できる環境を作ることが重要視されます。
少年の更正等にどういった処分・環境が適切かを知るためには、少年事件の原因や環境を探らなければ解決が望めませんから、少年鑑別所はその更正のために少年の性格等について専門的な調査をする施設なのです。

そのため、よくある「少年鑑別所は少年に罰を与える場所」というイメージは間違いであると言えます。
少年鑑別所はあくまで処分を決めるために詳しい調査を行う場所であるため、少年鑑別所にいる期間は処分前の調査段階であるのです。

繰り返しになりますが、少年鑑別所に入ることによって、今回の非行に至った原因を究明できたり、少年自身で自分の性格や行動を見つめ直すことができたりするというメリットも存在します。
例えば、少年自身やその家族の気付いていないところで、少年に何かしらの精神的疾患があり、そのせいで少年事件が引き起こされていたという場合には、その精神疾患を見つけ出さなければ、再犯防止に有効な手立てを考えることができません。
しかし、少年鑑別所の専門家の調査によってそれが発見できれば、今後どのようなことに気を付けていけばいいのか分かってくる、ということになります。

このように、少年鑑別所に入るということは少年にとって有益なことでもあります。
しかし、少年鑑別所に入ることがいいことばかりというわけではありません。
少年鑑別所に入る期間は、通常4週間程度とられることが多く、最大8週間少年鑑別所に入ることになります。
少年鑑別所に入っている間は、自由に外出することはもちろんできません。
面会も、原則としては家族の方と弁護士のみに限られます。
ですから、少年鑑別所に入るとなれば、1ヶ月程度〜2ヶ月程度、今まで暮らしていた環境から切り離されてしまうことにな李、通学・就労している少年には大きな負担となることが考えられます。
捜査段階から逮捕・勾留されていた場合には、最大で3ヶ月程度身体拘束され続けてしまうことも考えられますし、再逮捕が重なっていればそれ以上の身体拘束となってしまいます。
そうなれば、少年本人の身体的・精神的負担も大きくなってしまうことも予想されます。

このように、少年鑑別所は行くことに全くメリットのないところではありませんが、デメリットもあります。
少年鑑別所へ行くことを避ける活動をしたり、少年鑑別所へ行くことになった少年のフォローをしたりするためには、少年事件の知識のある専門家の力を借りることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件だけでなく少年事件も取り扱っています。
三重県少年事件少年鑑別所へ行くことについてお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

他人のペットを傷つけると何罪?

2021-09-14

他人のペットを傷つけると何罪?

他人のペットを傷つけると何罪になるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

三重県桑名市に住んでいるAさんは、隣人であるVさんがペットとして飼っている犬が、AさんがVさん宅前を通りかかるたびに吠えかかってくることに苛立っていました。
そして、ある日、Aさんは我慢の限界を超えてしまい、ついにVさん宅の犬を蹴飛ばして怪我を負わせてしまいました。
ペットの犬が怪我をしていることに気がついたVさんは、防犯カメラの映像などからAさんが暴行を加えて怪我をさせたことを知り、三重県桑名警察署に被害を届け出ました。
被害届を受理した三重県桑名警察署は、Aさんを逮捕
Aさん逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、突然の知らせに驚き、ひとまず弁護士に詳しい話を聞いてきてもらうことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・他人のペットを傷つけると何罪?

今回のAさんは、Vさんのペットである犬に暴行し、怪我を負わせてしまっています。
このケースのように、他人のペットである動物を傷つけたときに成立する可能性のある犯罪としては、まずは刑法の器物損壊罪が挙げられます。

刑法第261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

「前3条に規定するもの」とは、文書や建造物等のことで、それ以外のものが器物損壊罪の対象(客体)となります。
生きている動物を「物」と扱うことに違和感のある方もいらっしゃるかもしれませんが、法律的には動物も「物」として扱われるため、他人にペットとして飼われている動物も器物損壊罪の客体=「他人の物」となります。
器物損壊罪の「他人の物を」「傷害」するという言葉からも、他人が飼っているペットが器物損壊罪の対象として想定されていることが分かります。
なお、「傷害」とは書かれているものの、他人のペットを殺してしまったような場合でも、器物損壊罪の「傷害」に当てはまり、器物損壊罪が成立することにも注意が必要です。

今回の事例では、AさんはVさんの飼っているペットの犬=器物損壊罪でいう「他人の物」に暴行を加え、怪我をさせている=「傷害」しているため、器物損壊罪が成立すると考えられます。

・自分のペットを傷つけたら何罪?

先ほど確認したように、器物損壊罪はあくまで「他人の物」を傷つけた時に成立する犯罪です。
ということは、ペットを傷つけた際、それが他人のペットでなかった場合、自分のペットを傷つけてしまった場合には器物損壊罪とならないのでしょうか。
刑法には、以下のような規定があります。

刑法第262条
自己の物であっても、差押えを受け、物権を負担し、又は賃貸したものを損壊し、又は傷害したときは、前3条の例による。

この条文によると、自分の飼っているペットであっても、差押えを受けていたり、物権を負担していたり、賃貸したりしてているときは、器物損壊罪の対象となることがわかります。
このような場合には、たとえ自分のペットであっても傷つければ器物損壊罪の成立が問題となります。

・器物損壊罪以外の犯罪も成立する?

加えて注意しなければならないのは、ペットを傷つけることによって、器物損壊罪以外の犯罪も成立の可能性があるということです。
ある特定の種の動物を傷つけた場合には、動物愛護法違反が成立する可能性が出てくるためです。

動物愛護法(正式名称:動物の愛護及び管理に関する法律)は、主としてペット販売や取引を行う事業者に対して規制を加える法律です。
しかし、一般の飼い主やさらには飼い主でない人もこの法律による取締りを受けることがあります。

動物愛護法第44条第1項
愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する。

動物愛護法における「愛護動物」とは、牛、馬、めん羊、やぎ、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひるとその他人が飼育している動物のうち哺乳類、鳥類、爬虫類に属するものを指します。
刑法に対して動物愛護法の処罰規定は特別法に当たりますので、愛護動物をみだりに殺傷したといえる場合には器物損壊罪ではなく動物愛護法違反が適用されます。
そして、動物愛護法では、動物の種類によっては器物損壊罪のように他人の物か自分の物か区別されていないため、他人のペットでも自分のペットでも、「愛護動物」に当たる動物を傷つければ動物愛護法違反となる可能性が出てきます。

今回のAさんは、Vさんのペットである犬=「愛護動物」を傷つけていますから、動物愛護法違反となると考えられます。
動物愛護法違反は、器物損壊罪と異なり親告罪ではないため、告訴がなくとも起訴される可能性があり、さらにその刑罰も重い物となっています。
迅速に刑事事件に対応できる弁護士に相談することが求められるでしょう。

「人を傷つけるわけではないから」と考える方もいるかもしれませんが、ペットを傷つけることも非常に重い犯罪です。
そういったことをしないよう気をつけることはもちろんですが、もしも当事者となってしまったら、弁護士に相談して対応を練っていくことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、弁護士の初回接見サービスや初回無料法律相談を受け付けています。
まずはお気軽にご相談ください。

少年の強制わいせつで保護観察

2021-09-10

少年強制わいせつ保護観察を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県松阪市で帰宅途中の中学生の背後から抱きつき、胸を触るなどのわいせつな行為をしたとして、三重県松阪警察署は、Aくん(16歳)を強制わいせつの容疑で逮捕しました。
Aくんの両親は、事件について詳しいことまで聞かされておらず不安です。
急いで少年事件に詳しい弁護士をネットで検索し、すぐに対応してくれるよう頼みました。
(フィクションです。)

保護観察処分とは

原則、すべての少年事件は家庭裁判所に送致され、審判で審理されて処分が決定されます。
家庭裁判所が行う決定には、終局決定と中間決定とがあります。
終局決定には、「審判不開始」、「不処分」、「保護処分」、「検察官送致」、「都道府県知事または児童相談所長送致」の5種類あります。
更に、「保護処分」には、「保護観察」、「児童自立支援施設または児童養護施設送致」、「少年院送致」の3種類があります。

保護処分のひとつである「保護観察」は、少年を施設に収容せず、社会生活をさせながら、保護観察所の行う指導監督および補導援護によって、少年の改善更生を図るものです。
保護処分である「少年院送致」や「児童自立支援施設または児童養護施設送致」とは、施設収容せず社会内処遇である点で異なります。

指導監督は、面接などによる行状把握、一般遵守事項および特別遵守事項を遵守させるための必要な指示を行うことを内容とするものです。
補導援護は、住居の確保、就業等を援助することを内容とするものです。
具体的に言うと、保護観察の開始時に、少年が保護観察官と面接をし、保護観察の実施計画が作成され、その後、少年が担当保護司のもとを週1回~月1回ほど訪問するという形で行われます。
担当の保護司は、定期的な面談を行い、少年の行状を把握し、遵守事項を遵守するよう指導助言を行います。

保護観察の期間は、一般保護観察の場合、原則として少年が20歳になるまでとされています。
ただし、少年が20歳になるまでの期間が2年未満の場合は、2年間となります。
20歳に達するまでという原則ではありますが、期間途中で保護観察の必要性が認められなくなった場合には、保護観察が解除されることがあります。

保護観察処分を目指す

上記事例では、Aくんは強制わいせつ罪という罪に問われています。
強制わいせつ罪は、法定刑が6月以上の懲役であり、罰金刑はありません。
犯行態様や事件数によっては、初犯であっても、いきなり実刑となる可能性もあります。
少年の場合であっても、事案如何によっては少年院送致となる可能性も否定できません。

少年事件では、「非行事実」と「要保護性」が審判で審理されます。
「非行事実」とは、成人の刑事事件でいう公訴事実の当たるものです。
そして、「要保護性」は、多義的に用いられますが、一般的には、次の3つの要素から構成されるものと言われています。
①再非行性
当該少年の現在の性格や環境に照らして、将来再び非行をする危険性があること。
②矯正可能性
少年法上の保護処分による矯正教育によって再非行性を除去できること。
③保護相当性
少年法上の保護処分が更生のために有効かつ適切であること。

「非行事実」について特に争いがない場合には、「要保護性」の有無が重要な審理ポイントとなります。
要保護性が解消され、社会内処遇によって少年の改善更生が期待できると認められれば、保護観察が決定されることになります。
そのため、審判において、裁判官に要保護性が解消されたと認められるために、早い段階から要保護性解放に向けた活動(環境調整活動)を行う必要があります。
環境調整活動は、弁護人・付添人である弁護士に期待されるものであり、弁護士は少年、家族、学校や職場の関係者、裁判所と協力し、少年を取り巻く環境を調整し、要保護性を減少・解消させるべく尽力します。

もちろん、目先の処分結果のためだけに環境調整活動を行うことには何ら意味はありません。
処分結果そのものではなく、少年がきちんと更生し、将来再び非行を犯すことのないような環境を整えることが大事なのです。

強制わいせつ事件の場合、弁護士は、被害者への被害弁償や示談交渉を通じて、自身が行った身勝手な行為によって被害者がどれほどに深い傷を負ったかを認識し、そのような行為を二度と行わないためにはどうすればよいのか、少年や関係者らと一緒になって考え、模索していきます。

このような活動は、少年事件に詳しい弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

 

漁業法違反(漁業権侵害)で刑事事件に

2021-09-07

漁業法違反漁業権侵害)で刑事事件に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県鳥羽市の沿岸で、イセエビやアワビを採っていた会社員のAさん。
海から上がってきたところを海上保安庁の保安官に呼び止められ、密漁は漁業法違反であると聞かされました。
Aさんは、「他にもやっている人がいるから大丈夫だと思った。」と容疑を認めています。
Aさんは釈放されましたが、今後どのような処分となるのか不安でなりません。
(フィクションです。)

密漁で漁業法違反に

夏になると、海水浴場に近い岩場で、サザエやアワビなどを許可なく採る、いわゆる「密漁」が行われ、海上保安庁に摘発されるケースが増加する傾向にあります。
「密漁」といっても、組織的犯罪のように行われるケースだけではなく、海水浴客がレジャー感覚で密漁に手を染めるケースも少なくありません。
「え?海にあるものを採ってはいけないの?」と思われる方もいらっしゃるようですが、あるエリアについては地元の漁業協同組合が知事から免許を受けて共同漁業権を設定しており、漁業者以外が採取すると漁業法に違反する行為となるのです。

漁業法について

漁業法は、昭和24年に公布、翌年に施行された法律で、海水面の漁場を総合的に利用して漁業生産力を発展させ、あわせて漁業の民主化を目的とし、免許漁業と許可漁業に大別して、漁業を規制しています。
免許漁業は、漁業法の規定により、都道府県知事により免許された漁業権に基づいて、一定の水面で排他的独占的に行われる漁業のことです。
許可漁業とは、水産資源の保護、漁業紛争の調整など公益上の目的から、自由に営むことを一般に禁止している漁業について、特定の者に限り禁止を解き、漁船規模、漁区、漁期などの制限のかかった条件の下で漁業を行えるようにしたものです。

上の事例で問題となっている「漁業権」は、特定の水面において、特定の漁業を一定の期間排他的に営むことのできる権利のことです。
この漁業権は、行政庁の免許によって設定されます。
漁業権には、「定置漁業権」、「区画漁業権」、「共同漁業権」の3種類があります。
定置漁業権は、定置網漁業を営む漁業権のことで、一般に身網の設置場所が水深27メートル以上である大規模な定置網を対象としています。
区画漁業権とは、水産動植物の養殖を営む漁業権のことです。
そして、共同漁業権とは、一定区域内の漁民が一定の水面を共同で利用して営む漁業権のことをいいます。
共同漁業権の対象となる漁業は、貝類、藻類、イセエビ、ウニ、ナマコ、タコなどです。

このような漁業権を侵害した場合、100万円の罰金が科される可能性があります。
特定水産動植物であるアワビやナマコについては、3年以下の懲役または3千万円以下の罰金となっています。
漁業権侵害の態様については、漁場に施設使用中の漁具や養殖施設を毀損したり、漁網にかかった序類を採るなど、現に行いつつある操業を妨害する行為や、採捕養殖行為を現実に妨げるものではないにしても漁場内における採捕養殖の権利の実体的価値を減少毀損する行為があります。

刑事事件に発展した場合

漁業法は、漁業権を侵害する行為に対して罰則を設けています。
そのため、侵害行為を行った者は、刑事責任が問われることになります。
漁業法違反事件では、逮捕される場合であっても、その後釈放となる可能性は高いでしょう。
身柄を拘束せずに捜査を進め、海上保安庁や地元の警察で取調べを受けた後、管轄の検察庁に事件が送られ処理されることになります。
漁業権侵害は親告罪であるため、被害者である地元の漁業協同組合の告訴がなければ公訴を提起することができません。
そのため、事件を不起訴で終了させるためには、漁業協同組合と示談交渉を行い、示談を成立させる必要があります。
ただ、漁業協同組合によって密漁に対する対処方針は異なり、示談や被害弁償を一切受けないとしている場合もあり、必ずしも示談することができるとは言えません。
示談が難しい場合であっても、反省している旨や再発防止策を講じていることなどを検察官に説明し、できる限り寛大な処分となるよう働きかけることも重要でしょう。

「ちょっとぐらいなら。」と安易な気持ちで密漁すると、刑事事件に発展し、前科が付いてしまうこともあります。
刑事事件に発展し対応にお困りであれば、今すぐ刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

酒酔い運転で物損事故

2021-09-03

酒酔い運転物損事故を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
公務員のAさんは、酒に酔った状態で車を運転したとして、三重県亀山警察署に道路交通法違反(酒酔い運転)の疑いで現行犯逮捕されました。
Aさんは、飲酒後に自家用車を運転し、三重県亀山市のフェンスに衝突する物損事故を起こし、目撃者の通報で駆け付けた警察官に現行犯逮捕されたということです。
Aさんは、「飲酒運転をして事故を起こしたことに間違いはない。」と容疑を認めています。
(フィクションです。)

酒酔い運転とは

道路交通法第65条1項は、「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」と規定し、飲酒運転を禁止しています。
「酒気を帯びて」とは、社会通念上酒気帯びといわれる状態をいい、顔色や呼気などから認知できる状態にあることをいうとされています。
ここでいう「車両等」とは、自動車、原動機付自転車、軽車両およびトロリーバスをいいます。
ですので、飲酒後に自転車を運転した場合も道路交通法違反となります。

飲酒運転をした場合、すべてのケースで刑事責任が問われるわけではなく、一定の基準以上の場合には罰則が適用されることになります。

1.酒気帯び運転

道路交通法第117条の2の2第3号は、「第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの」は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処することを規定しています。
ここでの基準は、身体に政令で定める程度以上のアルコールを保有する状態」で車を運転したかどうか、です。
「政令で定める程度」とは、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15ミリグラムを指します。
ですので、その基準値以上のアルコールを身体に保有する状態で車両等を運転する行為が、刑罰の対象となる酒気帯び運転に当たるのです。

2.酒酔い運転

道路交通法第117条の2第1号は、「第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの」は、5年以下の懲役または100万円の罰金に処するとしています。
酒酔い運転の違反が成立するためには、道路交通法第65条1項に違反している者であることが前提条件となります。
しかし、酒酔い運転の違反が成立するためには、必ずしも政令数値以上の飲酒を必要としておらず、「酒気を帯びている」ことを充たしていればよく、少量の飲酒であっても、顔色や呼気等から身体にアルコールを保有していることが認知でき、その者がアルコールの影響によって正常な運転ができないおそれがあるときは、酒酔い運転の違反が成立することになります。
「酒に酔った状態」とは、アルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態のことを指し、酒に酔った状態であるかどうかは、身体の保有するアルコールの量だけでなく、運転者の客観的様子、例えば、呂律が回っていない、真っすぐ歩くことができないなども含めて判断されます。

飲酒運転は、悲惨な事故を起こす可能性が高く危険な行為であるため、厳しい処罰が設けられています。
酒気帯び運転に当たる飲酒運転では、略式起訴で略式手続に付され、罰金刑となることが多いのですが、酒酔い運転に当たるような場合には、公判請求され刑事裁判となるケースも少なくありません。
そのため、早い段階から弁護士に相談・依頼し、略式手続を目指す、執行猶予を目指して公判準備を行うなどの対策を行う必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件も含めた刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件の被疑者・被告人となり対応にお困りの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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器物損壊事件で示談

2021-08-31

器物損壊事件で示談した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
会社員のAさんは、三重県津市の繁華街で酔って、路上に置かれた被害店舗の看板を蹴って壊したところ、店員の通報で駆け付けた三重県津警察署の警察官に器物損壊の容疑で現行犯逮捕されました。
翌日、Aさんは家族が身元引受人となり釈放されましたが、暴行、公務執行妨害の前歴2件があるため、今回はどのような処分となるのか気が気でなりません。
Aさんは、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

器物損壊罪について

器物損壊罪は、公用文書等、私用文書等、建造物等以外の他人の物を損壊又は傷害させた場合に成立する罪です。
「公用文書等、私用文書等、建造物等以外の他人の物」には、動産、不動産を広く含みます。
「損壊」とは、物の物理的な損壊のみならず、物の効用を害する一切の行為を含みます。
判例では、食器に放尿する行為、鯛や海老が描かれた掛け軸に不吉と墨書きする行為、家屋を建設するために地ならしした敷地を掘り起こして畑地とする行為、施設の堀に赤色スプレーで落書きする行為も「損壊」に当たるとしています。
「傷害」は、客体が動物の場合に用いられ、動物を殺傷したり、逃がすなどしてその効用に害する一切の行為を指します。

器物損壊罪は、親告罪です。
親告罪というのは、被害者などの告訴権者による告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪のことです。
刑法上の親告罪は、器物損壊罪の他にも、未成年者略取誘拐罪、名誉毀損罪、侮辱罪、過失傷害罪などがあります。

器物損壊事件で示談した場合

器物損壊罪は粗暴犯の一種ですので、Aさんは2件の同種前歴をもっていることになります。
そのため、少なくとも罰金刑となる可能性はあると言えるでしょう。
しかしながら、器物損壊罪は親告罪であるため、被害者との間で示談を成立させ告訴を取消してもらえれば、同種の前歴があったとしても不起訴となります。

器物損壊事件で不起訴となるには、被害者との示談が重要なポイントとなります。
ただ、示談は、加害者が被害者に対して金銭の支払いをする一方で、被害者が告訴を行わない、あるいは、告訴を取り下げるとする当事者間の約束ですので、決まったルールがあるわけではありません。
また、被害者は加害者に対して嫌悪感や恐怖心を抱いており、加害者との接触を望まない場合も少なくありません。
そのため、被害者との示談交渉は、弁護士を介して行うのが一般的となっています。
弁護士限りであれば話し合いを承諾してくれる被害者も多いですし、法律の専門家である弁護士を介して交渉を行ることにより、加害者にとって到底受け入れることができない合意内容となったり、法外な示談金となることを避けることが期待できます。

無事に告訴が取下げられれば、起訴されることはありません。
器物損壊事件で被疑事実を争わない場合には、早期に弁護士に相談し、被害者との示談交渉に着手するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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器物損壊事件を起こし対応にお困りであれば、まずはお気軽にお電話ください。

置き引きで不起訴を目指す

2021-08-27

置き引き事件で不起訴を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県名張市にあるコンビニに立ち寄り、コンビニ内のトイレを利用したAさんは、トイレの個室内に誰かの置き忘れた財布を発見しました。
Aさんは、その財布を持ったままコンビニを後にし、現場を離れてから財布の中身を確認したところ、現金約3万円、免許証、キャッシュカード1点、クレジットカード1点が入っていたため、現金のみを抜き、他を財布ごと草むらに投げ捨てました。
後日、三重県名張警察署の警察官がAさん宅を訪れ、事件のことで話が聞きたいと言われました。
Aさんは容疑を認めており、警察署で取調べを受けた後に、帰宅しました。
(フィクションです。)

置き引きで問われる罪は?

置き引き」とは、一般的に、置いてある他人の物を持ち去る行為のことをいいます。
お店のトイレや電車などで誰かがカバンや財布などを置き忘れてしまったものを勝手に持ち去ってしまうのが典型例です。
置き引き行為は、被害者(持ち去られた物の所有者)の占有が認定できるかどうかで窃盗罪又は遺失物横領罪となります。

窃盗罪は、「他人の財物を窃取する」罪です。
ここで言う「他人の財物」とは、「他人の占有する財物」のことを意味します。
窃盗罪における「占有」は、人が物を実力的に支配する関係のことを指し、物を握持することがその典型例ですが、それ以外にも、物に対する「事実上の支配」があれば、刑法で保護する必要が高く、窃盗における「占有」が認められます。
刑法で保護される必要がある「事実上の支配」とは、物を客観的に支配している場合はもちろんのこと、物の支配を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態も含みます。
そして、物を取り戻そうと思えばいつでも取り戻せる状態であるか否かについては、支配の事実や占有の意思という2つの要素から判断されます。
支配の事実については、持ち主が物を置き忘れてから気が付くまでの時間的、場所的接近性などが重要な要素となります。
また、占有の意思については、持ち主が物の存在していた場所をどの程度認識していたかなどについて検討されます。

通常、バッグや財布を置き忘れたようなケースでは、持ち主がすぐに気が付くことが多く、当該バッグや財布は、「他人の占有する財物」と言え、窃盗となることが多いです。
しかし、物に持ち主の占有が認められるか否かが微妙なケースでは、窃盗ではなく占有離脱物横領罪が成立する余地があるでしょう。

置き引き事件で不起訴を目指す場合

置き引きは、窃盗事犯の中でも比較的軽微な部類に属するため、被害額が少なく、被害が既に回復されており、再犯のおそれもない場合には、微罪処分となることがあります。
しかし、被害額がある程度大きく、被害回復ができていない場合には、事件は警察から検察に送られ、検察官が最終的な処分を決定します。
上記事例では、被害額から言って、検察に送致されるものと考えられます。
ですので、検察官が最終的な処分を決定するときに、不起訴処分となるよう被害の回復と再犯防止措置を講じておくことが必要です。
置き引きは財産犯であるため、被害の回復、つまり、被害者への被害弁償を行うことが重要です。
通常、被害者への被害弁償や示談交渉は、弁護士を介して行います。
捜査機関は、加害者が被害者に供述の変更を求めるなどの罪証隠滅を行うおそれがあると認め被害者の連絡先を加害者に教えることはあまりありませんし、被害者も加害者に対してよい感情はありませんので、自分の連絡先を教えたがらないことがあります。
ですが、被害者も盗まれた物の弁償を希望することがほとんどであり、弁護士を介して被害弁償や示談交渉を申し込んだ場合には、話し合いに応じてもらえることが多いです。
無論、処罰感情が高い方は、被害弁償を受けないと話し合いも断る方もいらっしゃいますので、一概に全ての被害者の方が話し合いに応じられるとは限りません。
弁護士は、被害者の方の気持ちを考慮しつつ、被害弁償や示談に応じることのメリット・デメリットを丁寧に説明し、粘り強く話し合いを続け、当事者双方が納得することができる内容となるよう尽力します。

検察官が終局処分を下すまでに、被害弁償や示談が成立している場合には、不起訴処分となる可能性を高めることができます。
ですので、早期に弁護士に相談し、被害の回復に努めることが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件で対応にお困りであれば、弊所の弁護士に一度ご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

自宅のトイレで盗撮

2021-08-24

自宅トイレ盗撮した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県いなべ警察署は、自宅トイレや脱衣所に小型カメラを設置し、複数回にわたり自宅に遊びに来ていた知人女性の動画を撮影したとして、三重県いなべ市に住むAさんを逮捕しました。
Aさん宅にいた際に、執拗にAさんがトイレやシャワーを勧めてくることを不審に思った女性がカメラに気付き、いなべ警察署に相談したことで事件が発覚しました。
Aさんは容疑を認めています。
(フィクションです。)

自宅のトイレで盗撮したら

盗撮行為が各都道府県が定める、いわゆる、「迷惑防止条例」によって規制されていることはみなさんご存じのところですね。
多くの条例は、これまで公共の場所や公共の乗物における盗撮行為を禁止してきており、場所的に制限されたものとなっていました。
しかし、スマートフォンや小型カメラの普及により、特定の人らが利用する学校やオフィスなどといった非公共の場所における盗撮事件が後を絶たないことを受け、多くの都道府県はそのような場所での盗撮行為も処罰の対象となるよう条例を改正しました。
三重県の迷惑防止条例も例外ではなく、公共の場所・公共の乗物における盗撮を対象としていた規定を、公共の場所・公共の乗物のほか、特定の者だけが利用する学校、オフィス等での盗撮についても規制・処罰の対象となるよう改正しました。
改正条例は、令和3年1月1日に施行されました。

改正前の条文を見てみましょう。

第2条
(略)
2 何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
(1)人の身体に、直接又は衣服その他の身に着ける(以下この条文において「衣服等」という。)の上から触れること。
(2)衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
(3)前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。

改正前の迷惑防止条例は、「公共の場所又は公共の乗物において」という文言を置き、規制・処罰の対象となる盗撮の場所を制限していました。
また、盗撮についても、盗撮行為のみを対象としていました。

次に、改正後の条文を見てみましょう。

第2条
(略)
2 何人も、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
(1)人の身体に、直接又は衣服その他の身に着ける物の上から触れること。
(2) 通常衣服で隠されている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影し、若しくはその目的で撮影機器を人に向け、若しくは設置すること。
(3)前2号に掲げるもののほか、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。

2項のから「公共の場所又は公共の乗物において」という文言がなくなり、規制・処罰の対象となる盗撮の場所的公共性の制限がなくなりました。(3号の卑わいな言動についてのみ「公共の場所又は公共の乗物において」という場所的制限がかかっています。)
また、盗撮のみならず、盗撮目的でのカメラの差し向けや設置行為についても規制・処罰の対象となりました。

また、罰則についても、改正前は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金となっていましたが、改正後は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に引き上げられました。

改正前は、自宅での盗撮は、「公共の場所又は公共の乗物において」行われたものではないため、迷惑防止条例違反とはならず、軽犯罪法違反で処理されていましたが、改正後は、自宅トイレという特定の者が利用する場所であっても盗撮目的でのカメラの設置行為は迷惑防止条例違反となる可能性があります。

盗撮事件の弁護活動

盗撮事件での弁護活動は、大きく分けて、身柄解放と示談交渉の2つがあげられます。

①身柄解放活動

盗撮事件は、盗撮をしているときに犯行が発覚し、その場で逮捕されるケースが多いのですが、被害者からの被害申告などで後に犯行が発覚して逮捕されるケースもあります。
逮捕後の流れとしては、逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、それとも検察官に証拠物や関係書類と共に送致するかを決めます。
検察官に送致されると、被疑者は検察官による取り調べを受け、検察官は被疑者を勾留すべきかどうか検討します。
勾留すべきだと考えれば、検察官は裁判官に対して勾留の請求を行います。
勾留の請求を受けた裁判官は、被疑者と面談した上で、勾留するかどうかを判断します。
裁判官が勾留を決定した場合には、検察官が勾留を請求した日から原則10日、被疑者の身柄が拘束されることになります。
勾留となれば、勾留中は会社や学校に行くことができませんので、事件が会社や学校に発覚し、解雇や退学となる可能性も生じてきます。
ですので、なるべく早く釈放となるよう、具体的には、検察官に対しては勾留請求しないよう、裁判官に対しては勾留を決定しないよう働きかける必要があります。
弁護士は、検察官・裁判官に対して、勾留の要件を充たしていない旨を客観的証拠に基づいて立証し主張し、早期釈放を目指します。

②示談交渉

被害者のいる事件では、被害者の被害が回復したかどうか、被害者の処罰感情の程度などの事情が、検察官が起訴・不起訴を判断する際や裁判官が刑を決める際に考慮される要素となります。
盗撮事件においても、被害者との示談が成立している場合には、例え、有罪を立証するだけの十分な証拠がある場合でも、検察官が起訴しないとする可能性は高いです。
そのため、早期に捜査機関を通して被害者との接触を図り、示談交渉を行う必要があります。
示談交渉は、通常、弁護士を介して行います。
罪証隠滅を防止する観点から、捜査機関が加害者側に被害者の連絡先を教えることはないですし、盗撮の被害に遭った被害者は加害者と直接連絡をとることを拒むケースが多いため、実際に加害者側が被害者に直接連絡をとることは容易ではありません。
仮に、被害者が知り合いで連絡先を知っており、加害者が被害者に直接示談交渉をしようとしても、当事者同士の交渉は感情的になりやすく難航することが予想されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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少年事件で試験観察

2021-08-20

少年事件試験観察となった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
三重県伊勢警察署は、傷害事件の被疑者としてAくん(17歳)ら少年4名を逮捕しました。
Aくんには、同種の前歴があり、Aくんの両親は、今回の事件で少年院送致となるのではないかと心配しています。
Aくんの両親は、すぐに対応してくれる少年事件に強い弁護士に相談の電話を入れました。
(フィクションです。)

少年事件の流れ

20歳未満の者(以下、「少年」と呼びます。)が、罪を犯したと疑われる場合には、捜査機関が少年の被疑事件として捜査を開始し、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと認められるときや、犯罪の嫌疑は認められないけれども家庭裁判所の審理に付すべき事情があると思料するときは、すべての事件を家庭裁判所に送致します。
事件を受理した家庭裁判所は、調査官による調査を行った上で、審判を行い、少年に対して処分を言い渡します。
審判で言い渡される処分には、①不処分、②保護処分、③都道府県知事又は児童相談所長送致、④検察官送致、⑤試験観察があります。

試験観察とは

家庭裁判所は、保護処分を決定するため必要があると認めるときは、決定をもって、相当の期間、少年を調査官の観察に付することができます。
この決定を「試験観察」といいます。
試験観察は、終局決定前の段階で必要がある場合に行われる中間決定です。
試験観察には、相当の期間、調査官の観察に付することによって、調査官の調査を補強・修正し、要保護性の判断をより一層的確にするという機能と、終局決定をいったん留保することで心理的強制効果を利用して教育的措置を行い、その効果を高めるという教育的処遇の機能とが期待されます。

試験観察の要件は、「保護処分を決定するため必要があると認めるとき」であることで、より細かく言えば、①保護処分に付する蓋然性があること、②直ちに保護処分に付することができないか、相当でない事情があること、③調査官の観察活動の結果により適切な終局決定ができる見込みがあること、④相当の期間内に観察目的を達成する見込みがあること、の4要素を満たす必要があるとされています。

試験観察の方法は、事案の内容や少年の抱える問題によって異なりますが、基本的には、調査官が、少年や保護者を定期的に家庭裁判所に呼び出し面接を行い、その中で教育的措置を行ったり、ボランティア活動へ参加させたりします。
試験観察には、在宅試験観察と補導委託試験観察とがあります。
在宅試験観察は、審判で試験観察決定が言い渡されると、その日に自宅に戻ることができます。
基本的には自宅で過ごし、定期的に家庭裁判所に出頭することになります。
補導委託試験観察は、民間の有志家に少年の補導を委託し、民間の社会資源の長所を生かした教育的な働きかけを行いながら、少年の行動等を観察しようとするものです。

このように、試験観察は、終局処分である保護処分を決めかねる場合にとられるもので、試験観察期間中に、少年の要保護性が解消したと認められる場合には、最終的に不処分が言い渡されることもありますし、少年院送致の可能性が高い事案であっても、保護観察となることもあります。
少年院送致が見込まれる場合には、まずは審判で試験観察となることを目指し、試験観察期間中に環境調整に力を入れ、最終的に審判で保護観察処分となるよう働きかけることが重要です。
そのような活動は、少年事件に精通する弁護士にお任せください。
少年事件は、成人の刑事事件と異なる点も多いため、少年事件については少年事件に詳しい弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。

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